増えたかも。/私物。/非常識が常識。(3本詰め)

【増えたかも。】


「ねぇ」
「ん?」
「もし、ね?あの、その」
「あんだよ、言いたい事あんなら早く言え」
「その、に…」
「に?」
「に…!」
「肉食いてぇのか」
「ち、違うの!そうじゃなくて!」
「痛ぇ!いきなり顔上げんなこの石頭!言いてぇことあるなら早く言いやがれ!」
「ご、ごめん…だからね、あの、に…」
「だから「に」の後はなんだ!腹の肉でも増えたか!?」
「あぁっおしいっ」
「なんだおしいって」
「に…」
「…」
「妊娠したって言ったら、どうする…?」
「…」
「…あれ?妖一?ねえってば!どこ見てるのよ!口開いてるし!」
「……」
「…え?ちょっと、ねぇ、急に立ち上がってどうしたの…?もしかして…嫌…とか?」
「出かけんぞ」
「どこによ…」
「不動産屋」
「え?」
「ガキが増えるんじゃここは狭ぇだろうが」
「…!」
「大体一言も嫌とか言ってねぇだろバカ」
「バ…!もう!言ってくれなきゃわかりません!」
「笑顔で言われても迫力アリマセーン」
「うるさい!」


【私物。】


「ねぇヒル魔君」
「なんだ」
「ここに4段ラック増やしていい?洋服入れたくて」
「…テメェの服はテメェの家でしまえ」
「だって入りきらないんだもの。どうせそんなに服持ってないんだからいいでしょ?」
「独断と偏見で俺の家を私物化するな」
「そんな事してないわよ!」
「観葉植物レースのカーテン紅茶のポット無駄にでけぇ靴箱ミュールパンプス運動靴、怪物サイズの糞熊のぬいぐるみが我がもの顔で鎮座しているこの状況で、私物化してねぇとどの面でおっしゃるんデスカネ?」
「…」
「わかったら諦めろ」
「…じゃあ譲歩して3段ラックでいいから!」
「…」
「ね?」
「…条件がある」
「なぁに?」
「テメェが俺の私物になれ」
「…」
「さぁどうする?」
「…諦めます」
「ケケケ、賢明な判断だ」

知らぬは本人ばかり。


【非常識が常識。】


「ねぇセナー」
「あ、鈴音。来てたんだ」
「うん、今来たんだけどまも姐がさっき校舎裏で…」
「まもり姉ちゃんが?」
「キスしてた」
「…え?」
「だからキスだよキス!」
「…誰と?」
「よーにい以外の人」
「…………………」
「どうなるか見物だよねー!まも姐嫌そうだったしなぁ」
「嫌そう?」
「そう!なんか無理矢理されちゃったみたいな…」
「無理矢理…」
「よーにいどうなるかなー?」
「あぁ…多分その現場を見ることなく終わると思うよ」
「え?なんで?」
「よぉ糞チア、今日も来てんのか」
「あ、よー、にぃ…」
「あんま詮索すんじゃねぇぞ」
「…はい」
「…ね、わかった?」
「…うん、っていうか、戦車まで出さないよね普通」
「普通は銃火器さえ出さないけどね…」

慣れって怖い。